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株式会社MOTHER SHIP

完璧さを手放すことから、組織の変化は始まる

コラム
完璧さを手放すことから、組織の変化は始まる

小規模な事業者の皆さんと一緒に仕事をしていると、ある場面に何度も出会います。

チーム内でトラブルが生じたとき、その原因を「あの人の責任」「あの人のせい」と一点に集中させようとする。その気持ちは痛いほど分かります。問題をはっきりさせたい、犯人を特定したい、二度と同じことが起こらないようにしたい——そう思うのは自然なことだからです。

でも、本当にそこで終わらせてしまうと、何も変わりません。

自分にも落ち度がある、という問い直し

私たちは、相手のミスや不備には敏感です。しかし自分たちのマネジメント、コミュニケーション、あるいは前提条件の置き方には、案外盲目的です。

ある事業者の例を考えてみましょう。事務担当者が重要な書類を送信漏らしてしまった。すぐに「あの人は注意散漫だ」「システムを導入すべき」という話になった。それは正しい指摘かもしれません。でも立ち止まって考えてみると、その担当者の業務は毎月増え続けていた。誰も優先順位を整理せずに、ただ「重要なものは忘れないで」と暗に期待していただけでした。

問題が起きたとき、「相手が悪い」という反射的な反応の前に、一度 自分たちに何か見落としはなかったか を問い直す習慣。これが大事です。完璧な人間なんていないし、完璧な仕組みもありません。私自身も、クライアントさんとの打ち合わせで勘違いをすることがあります。その時は「自分たちの説明不足はなかったか」から入るようにしています。

現象と、その奥底にある理由を分ける

目に見えるトラブルと、その背景にある本当の理由は、案外別物です。

例えば、営業チームが提案資料を作り忘れた。表面的には「やる気がない」「スキル不足」と見えるかもしれません。でも粘り強く話を聞いてみると、実は営業プロセスのどこかで負担が集中していた、あるいは一人の才能に頼りすぎていて、他のメンバーは何をすればいいか分かっていなかった——そんなことが浮かび上がります。

動物的に、反射的に反応するのは簡単です。「こんなこともできないのか」「次からは気をつけてほしい」で終わらせてしまう。でも問題を本当に解決したいなら、その現象の裏側を解きほぐすための 問い が必要です。

「どうしてそうなったのか」「その背景に何があるのか」「実はどこの仕組みに無理があるのか」——これらを丁寧に聞き、考える。これはチームの信頼を守りながら、同時に本質的な改善につながる唯一の道です。

被害者かつ加害者である、という視点

ここからが、私が最も大事だと考えることです。

組織内の問題は、往々にして 全員が何らかの形で加害者であり、同時に被害者 です。

営業が資料を作り忘れたのは悪いこと。でも、その営業はなぜ忙しいのか、作り忘れざるを得なかったのか。それは経営層が現場の状況を把握していなかったから。営業から上がってくる声を聞く仕組みがなかったから。あるいは、業務プロセスが属人的で、外注や分業が検討されていなかったから——結果として、その営業さんは精一杯やっていたかもしれません。

同時に、その営業が資料を作り忘れたことで、他のメンバーが納期を遅れたり、顧客対応で焦ったりしている。その人たちは確かに被害を受けています。

このとき、「誰が悪いか」で戦わず、「全員が、何らかの形で困っている、あるいは無理をしている」という視点に立つ——これが組織を変える入口になります。

問題は、変わるチャンス

このような視点を持つと、何が変わるか。

問題が起きたとき、責任追及の場ではなく、改善の場になります。営業の人も、経営層も、事務担当者も、みんなで「どうすればこれを防げるか」「実は何が無理な構造だったのか」を一緒に考える。その過程で、隠れていた課題が浮かび上がります。

実際、こうした姿勢で事業者の皆さんと向き合うと、表面的なトラブルの奥に、ビジネスを大きく改善できるポイントが眠っていることが多いです。「人の責任」で終わらせていては、絶対に見つかりません。

完璧な人間がいないのと同じく、完璧なプロセスも、完璧な説明も存在しません。だからこそ、ミスや齟齬は起こります。でも、それを責める場ではなく、全員で学び、仕組みを整える場に変えることができれば——組織はもっと強く、もっと柔軟になっていきます。

私たちコンサルタントも、皆さんの事業者さんも、みんなそうやって、一緒に変わっていくんだと思います。